Tuesday, August 27, 2019

心理療法の学際的研究 Interdisciplinary research on psychotherapy. 【私が以前書いた研究計画書】

【復興への羅針盤】フランクル『夜と霧』医師が伝える「生きる意味」/陸前高田市
 統合失調症(ナイアシン使用例)(1/2)


心理療法の学際的研究 研究計画書
Interdisciplinary research on psychotherapy

2013・03・05 安河内 亜衣 (著作権所有者)

I describe and explain background, method, and significance for research on clinical psychology in this essay. There are three reasons why I want to research comprehensively in clinical psychology. First of all, the numbers of people who suffer from mental illness have been increased in recent years in Japan. Moreover, the suicide rates in Japan are still high level compared to other developed countries when we look WHO statistics and suicide rate tend to increase continually since 1947 according to the statistics of the Cabinet Office in Japan. Secondly, the GNH (Gross National Happiness) rate in Japan is low level compared to other industrialized countries according to the OECD index. The Japanese government also gave data which show public satisfaction has been decreasing in spite of the growth of real GDP from 1981 to 2005. The fundamental causes are to be found in the ingrained conventions of Japanese culture because various kinds of stress are natural in human life but the depression and confusion are produced according to our way of thinking. Thirdly, practical treatment for mental dysfunction is an urgent need to deal with victim’s mental problems after the giant Tohoku earthquake and tsunami on 11 March 2011 in Japan. Although rebuilding and supplying new resource have been improving in those stricken areas, there are still a lot of factors to induce people’s anxiety and depression. I want to research effective new psychotherapy to heal other people’s mental problem and prove its effectiveness scientifically to enhance public understanding of clinical psychology. I am planning to use mainly ethnomethodology (conversation analysis), document analysis, fieldwork, action research. Furthermore, it is desirable to collaborate and share information about mental illness treatment with other field social workers such as a psychiatrist, researcher of cranial nerve, dietitian, nurse, welfare service center, etc. This is because my purpose of the research is to improve psychotherapy to utilize the method practically according to the patient’s situation, which means I need to integrate traditional ways of psychotherapy and use it flexibly with various kinds of networking and cooperation with other field’s specialist. I believe the development of psychology will contribute immensely to improve patient’s well-being and personal development. In conclusion, the significance of this research is to elucidate human nature itself and clarify the cause of mental illness, anxiety, and depression. Although clinical psychology is still new academic field compared to other academy since 1894 with the beginning of the first courses on the study of child psychology at the University of Pennsylvania by Lightner Witmer. However, I believe the progress of psychology, as of every other science, will be determined by the amount of its contribution to construct people’s peace of mind and the advancement of the human race in the future. 

今、日本社会は、鬱病・自殺率の増加・高齢化に伴う精神病医療の必要性・学校教育における子供の心のケアなど様々な問題を抱えている。そして、その問題に対処するため、臨床心理士の活躍の場も、医療・保険・教育・研究・福祉・産業・司法・個人的開業など広がってきている。そのため、社会により良い治療を提供するためには、日本の現実社会に根ざした臨床心理学の研究・再構築、さらには他分野の専門家との協力・情報の共有が必要である。学際的心理療法研究の目的は、精神的に問題を抱える人を援助しつつ、個人の潜在的な問題解決能力(精神的自然治癒力)を引き出せるエンパワーメントの実現である。臨床心理学の研究において人類全体の精神的病気の治療・促進・病気予防の手法を探りたい。また、未だ解明されていない小宇宙とも呼ばれる人間の心の構造を科学的に解明し、社会の心理学に関する理解をさらに深めることに貢献したい。


① 研究課題
19世紀後半以後、実証科学として設立した心理学は他の分野と比較して歴史の浅い学問と言える。そして、S.フロイトによって無意識の概念が提出されてから、人間の異常行動や病的反応を扱う道が開かれたことは人類にとって大きな成果である。また心理学は人類の文化・歴史・言語・哲学・医療・科学など広範囲の領域を包括する学際的学問である。そのため、心理学は将来的に非常に可能性の大きい分野と言えるだろう。
しかし、日本では未だに心理療法やカウンセリングの学派の理論に基づいて臨床心理学を考える傾向が強く残っている。臨床心理学が現代社会の様々な問題に応えていくためには、学派の枠組みを超えてより統合的かつ実践的な臨床心理学を追及していくことが重要な課題である。
そのためには、私たちが現在生きている社会の仕組みと構造を学ぶとともに、個人の心の病の原因を従来の直線的な因果律から複数の要因が相互に影響を与え合っているととらえる循環的(円環的)因果律に基づくシステム論的な思考方法に転換し、真に全人格的な成長・発達を目指し、全ての人の人間観を尊重する態度が必要である。
そして、臨床心理学を統合的構造として考えるならば、まず基本には現実に介入していく実践活動が必要である。しかし、それだけではなく、米国心理学会が指摘するように科学的な研究活動も重要である。また、社会に対する責任説明を果たすためには専門活動(専門組織、教育と訓練、研究成果の公表、規約と公表、規約と法律、倫理などの制度の整理も含む)も発展させていかなければならない。
つまり、学問としての臨床心理学を現実社会で適用するためには、実証により深く心の仕組みを研究(脳内の物理現象や個人の物事の考え方がどのように心理的現象として具現化するかは因果関係の解明)し、人々の精神的健康・生命力の活性化に繋げていくことが臨床心理学の最重要課題である。

② 目的
現在、日本で臨床心理士が用いている療法には、心理カウンセリング・遊戯療法・箱庭療法・芸術療法・夢分析・認知行動療法・精神分析・来談者中心療法・行動療法・家族療法・動作法・集団療法・森田療法・内観療法・フォーカシング・自律訓練法などがある。また、精神的な病気を治すという意味では同じ目的を持つ精神科医は薬物療法・電気痙攣療法ECTなどを用いてクライエントの治療にあたっている。
結局何が人の精神的健康の回復や保持に役立つのかと言えば、人それぞれ抱えている問題・生き方・考え方・体質が違うため、全ての人に適応できる万能薬がないように全ての人に適用可能な心理療法というものを確立することは難しいと思われる。そのため、臨床心理学研究の目的は、実証的心理療法の発展・改善ではあるが、それらは必ずしも全ての療法を一つに統合することではなく、従来の治療法を生かしつつ、また必要があれば新しい治療法も取り入れ、他分野の専門家(精神科医・脳神経科医・看護士・セラピスト・カウンセラーなど)とも協力して、クライエントの治療にあたるという柔軟な心理療法への転換・昇華である。また、英国・米国の臨床心理学と日本独自の心理療法を比較する中で、日本型心理療法の最適モデルを構築することも、日本における臨床心理士の使命である。
また、精神科医が患者の精神医学的問題を診断する際の指針を示すためにアメリカ精神医学会が定めたもので、DMS(精神障害の診断と統計の手引き、Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders)は、精神疾患に関するガイドラインで、世界保健機関による疾病及び関連保健問題の国際統計分類とともに、世界各国で用いられている。DSMは、病因論などに余り踏み込まずに精神症状のみを論理的推察と統計学的要素を取り入れ分類した事で、診断基準が明確になり、今まで医師の主観的な傾向にあった精神疾患の判断に対して、客観的な判断を下せる様になり、医療スタッフ側の意見や伎倆の差異による診断の違いが最小限となった事で精神医学の方面で革命的なアプローチをもたらしたものとして知られている。しかし、その反面近代精神分析学や近代精神医学が分類・診断を始めたことで、それまでは個性や属性の一つと捉えられていたものが、疾病や障害や症状とされ、治療の対象にされるようになるなど、人間の世界に新たな差別や偏見が持ち込まれることとなったとの批判もある。また、患者の望まない治療の強制・精神病患者の強制隔離による人権侵害・精神改善薬(抗鬱剤・睡眠薬)による身体的副作用・電気痙攣療法による致命的事故など、歴史的に精神医学がもたらしたと言える人々への弊害をなくすための働きかけをしていくことも臨床心理学研究の重要な目的の一つである。従来日本には、医者が能動的・患者は受動的という上下関係が根強く残っているが、患者と治療者の立場は平等であるという概念を確立し、臨床心理士も様々な治療を通して、患者から新しい治療技術を学ぶという相互尊重の意識を持つことが必要条件である。

③ 背景
厚生労働省の資料によると、今後の精神保健医療福祉のあり方に関する問題は以下のとおりである。第一に、近年、精神疾患を有する患者数は急増しており、入院患者を疾病別にみると、統合失調症が減少傾向にある一方で、認知症患者が増加しており、結果として、精神病床は、35万床前後でほとんど減少していない。第二に、我が国の精神科医療については、歴史的に入院医療中心に進んできており、いわゆる社会的入院患者をはじめ未だに数多くの長期入院患者が存在している。第三に、鬱病等の気分障害患者数は100万人を超え、鬱病患者数は平成8年から12年間で約3.5倍となっている。
また、東日本大震災後被災地では、今後もPTSD(心的外傷後ストレス障害)の症状の長期化、生活への不安等も重なり、鬱病や不安障害が増加することが考えられる。このことから、中長期的な対応が必要となり、そのための地域精神保健医療を担う人材の確保等が必要とのことだ。PTSDは心の不調だけではなく、疲労感、頭痛、めまい、腹痛など身体的な不調が前面に現れるということもあるというから、臨床心理士は他分野の専門家(精神科医、看護士、精神保健福祉士、作業療法士、社会福祉士等)とも連携して長期的な心のケアに取り組む必要性が出てくるだろう。
さらに、ここで日本人の精神的健康を客観的に図る指標としてOECDのデータを見てみる。経済協力開発機構(OECD)は2012年5月23日までに、各国の国民の幸福度を測定する「より良い暮らし指標」の最新版を公開した。日本はOECD加盟国など36ヵ国中21位で昨年の19位から後退した。「仕事と生活の調和」や「生活満足度」の評価が低迷したことが響いた。
以上のように、社会が抱える様々な問題も内在する精神的病気や抑うつ感は目に実際見えないため、専門家がそれぞれの責任で「私はこう説明する」という提示をし、それに批判・情報の共有を加えて、実証的精神治療をより提供していく必要が今強く求められていることが、私が心理療法の研究を試みるに至った背景である。

④ 方法
自らの研究の目的は、精神障害を抱える患者だけではなく、世間一般の人の精神的健康の維持・改善・病気の予防も含んでいるため、研究の対象も患者だけでなく社会全体を対象としていきたい。そのため、研究手法は様々なクライエントとのナラティブセラピーの実践を通した会話分析(エスノメソドロジー)・集団療法を特に中心としながら、必要があればドキュメント分析・フィールドワーク・アクションリサーチ・アナログ研究・効果研究なども質的・量的研究バランスよく行うために取り入れることが望ましい。また、対象となる事例に関して、クライエントの置かれている環境や社会との判断の誤差などの広範な情報も収集し、それを総合して事例を検証し、人間の生命体としてのリズムや周期性にも注意を向けた研究をしたい。なぜなら、これまでフロイトやユングの描いた心の構造のように、個人の内的事象としてとらえられてきたさまざまな心理現象について、無数の生命と絶えずエネルギー交換することで生きている一つの生命体という視点からとらえ直し、コミュニティと繋がった個人という心の構造について検討していきたいからである。
また、仮説の検証のため効率よく豊富な情報を収集するためには、一般の人への質問調査・精神科医など他の分野の専門家との情報の共有も必要になるだろう。この目的は、精神障害を脳の病気とみる器質論にも、全てを心理的要因だけで説明する精神分析(力動精神医学)にも解決が難しいような人々の精神的問題に対処し、人類の誰もが抱える心理的苦痛や精神的疾患とどのように共存していくかという大きなテーマに取り組むためである。
⑤  意義
ブータン国立研究所所長である、カルマ・ウラはGNH(国民総幸福量, Gross National Happiness)について次のように述べている。「経済成長率が高い国や医療が高度な国、消費や所得が多い国の人々は本当に幸せだろうか。先進国でうつ病に悩む人が多いのはなぜか。地球環境を破壊しながら成長を遂げて、豊かな社会は訪れるのか。他者とのつながり、自由な時間、自然とのふれあいは人間が安心して暮らす中で欠かせない要素だ。金融危機の中、関心が一段と高まり、GNHの考えに基づく政策が欧米では浸透しつつある。GDPの巨大な幻想に気づく時が来ているのではないか。」
また、米国心理学会(APA)では、臨床心理学を「科学、理論、実践を結合して人間行動の適応調整や人格的成長を促進し、さらには不適応、障害、苦悩の成り立ちを研究し、問題を予測し、そして問題を軽減、解消することを目的とする学問である」と包括的に定義している。
以上の二つの意見を参考にして臨床心理学の意義について考えてみる。元々、臨床心理学は、病理の治療を目的とした学問ではない。広く心理問題の解決や改善援助をする学問である。もちろん、心理的問題の中には精神医学的病理が含まれる場合もあるが、そのような場合、臨床心理学では、病理を抱えてどのように生きるかという、心理面での解決を援助することがテーマとなる。
さらに、社会には、たとえ病状を呈していなくても、心理学的援助を必要としている人が数多くいる。臨床心理研究の意義は、精神病を診断・治療することではなく、今患者や社会が何で心を病んでいて、何を求めているのか、はたまた原因は何かを、他者との協力を通して研究し、人々の精神的健康・心的安全空間の構築・全ての人の人権尊重と人間的成長に貢献することである。そして、人類の歴史からも、人間の満たされない心の叫びは世界大戦・集団妄想(カルトやテロも含む)・障害者弱者差別・殺戮・自然破壊・経済停滞・麻薬蔓延に大きな影響力を与えてきた。こういった人間の感情や欲望から生まれる悪習や惨事をなくしていくためにも、我々は物質的な豊かさだけを善とするのではなく、自己洞察・相互理解といった人類の心の豊かさを、コミュニケーション・カウンセリングを通して見出していくことに臨床心理学の研究の意義があると思う。
⑥ 研究計画書作成にあたっての感想(補足)
この研究計画書を書く前、私は大学院のために首尾一貫した完璧な研究計画書を書かなければならないと、ある意味精神的に、非常に追い詰められていた。研究計画書を書く前に、心理学に関する本を読んだり、精神病に関する映画(『パッチ・アダムス』)や臨床心理士に関するビデオを見たり、看護士である友人から臨床とはどういうものかを聞いてみたり、大学時代の心理学の先生から精神病治療について教えてもらったり、また社会学・経済学部の教授からも現代社会の現状や論文作成のアドバイスを戴いたりとありとあらゆる情報収集を試みたが、依然として自分の中では考えがうまくまとまらず、カオスの中にいた。
そんな時、国際基督教大学院『愛と怒りの家(House of Love and Anger)』におけるオープンハウスの予定を聞いて参加してみようと思った。私がオープンハウスのイベントに参加した日は、ちょうど同研究所所長の小谷英文先生の退任講演が行われていて、私は幸運にも、小谷先生の貴重な体験を聞く機会に恵まれたことに非常に感謝している。私は小谷先生が恩師であるカールロジャー先生の「自分のままでいい。飾らなくていい。Just to be genuine.」ということをお話ししてくださった時、本当にそのことは人間性を回復する上で最も大切なことだと強い同感を感じた。と言うのは、私はまだ臨床心理という学問の経験が未熟で、人間・自我とは何か?という大きなテーマを前に多くの疑問を抱え立っている一人の若者に過ぎないかもしれない。けれども、自分は現代社会における人々の心に何か問題があるという疑問を幼い時からずっと考えていて、それを解決するために何かをしたい、将来多くの人の心の苦悩(様々な要因が複合的に絡み合ったトータルペイン)を理解し、その人の人間性に合った心のケアを提供できる臨床心理士になりたいという夢を、思いのまま研究計画書に書けばいいと感じたからだ。
私が研究計画書を執筆中に、気晴らしで手に取った児童文学『モモ』(ミヒャエルエンデ著)の中に偶然、精神病治療のヒントになるような病気を見つけたのでここで紹介したいと思う。この物語の中では、致死的退屈症(以下参照により説明)という架空の病気が登場する。この病気の精神的な症状としては主に、慢性的な空虚感、抑鬱気分、絶望感、感情不安定、社会的関係への関心のなさ、情緒的な冷たさがある。まさに、これは今日本で問題になっている鬱病患者だけでなく、おそらく多くの人が、便利な社会の中で暮らす中でも常に感じている焦りや不安にも当てはまるではないだろうか。この話の中では、ある町の円形劇場に突然幼い女の子のモモが住み着く。町の人はすぐにモモと仲良くなりました。モモには人にはできないあることができたのです。それは「人の話しを聞くこと」でした。町の人は何か悩みがあったりすると次第にモモを尋ねるようになりました。モモには待ちの人々の悩みを解決するよいアイデアを出したりするわけではありません。しかし、不思議とモモと話していると自分の頭の中で埋もれていたアイデアがまとまってきたりするのです。熱心に人の話しを聞くことにより相手に何かを気づかせるということがモモにはできました。私は、この話を読んでいて何かカウンセリングの本質と言うべき素晴らしいものを学んだ気になった。また、私の愛読書の一つである『窓際のトットちゃん』の中の一節でも、他の小学校を問題行動により退学になってしまったトットちゃんが新しいともえ小学校の校長先生に、自分の話を一生懸命長時間聞いてくれた暖かくて優しい校長先生に出会い、それまで感じていた社会からの疎外感を克服し、自我というものを受け入れ安心するというシーンがある。そして、現実社会でも、家族や友人に自分の気持ちをずっと話すことで、あるいはカウンセラーや精神科医に相談することで、摂食障害やADHD(多動性障害)を治すことができた友人を私は見てきた。
その時、私は再び集団精神療法について話していた時の小谷教授の言葉を思い出した。「病気であろうとなかろうと人は人の中でしか息吹が吹き返せない。」あくまで本の中での話だが、モモという不思議な女の子は、人は皆どんな話でもいいから聞いてくれる人が必要であることを悟っていて、人々に“心的安全空間”を提供することの重要性を知っていたから、町の人々の支持を集めたのではないだろうか。
ミヒャエルエンデの『モモ』、サン=テグジュペリの『星の王子様』、ルイス・キャロルの『不思議の国のアリス』など世界的に多くの人々に長く支持されている児童文学の中に必ずと言って登場するのは、いつも時間がない時間がないと騒いでいる狂人じみたキャラクターである。それでも、多くの人がそのストーリーに共感を得るのは、現実の世界でも生きることに充実的な意味や満足感を感じられず、生きるということに不安や焦りを抱えている人が多いからであろう。
私は、臨床心理士や精神科医は、将来人類の幸福・喜び・愛というものを脅かす目に見えない敵(心の病気)と戦う誇りある仕事だと思う。確かに、医者は、薬を投与したり、注射をしたり、手術をするなど、外から力を加えて治すイメージが一般社会ではある。私は、臨床心理士は人が持っている治る力(自然治癒力・その人自身の良さ)を引き出すことが使命だと思っている。これは、看護の創始者、フローレンス・ナイチンゲール(1820~1910)が言っていることである。「あらゆる病気は回復過程である。その回復過程を整えること」「そのためには新鮮な空気、暖かさ、規則正しい食事をきちんと提供すること。そして、一人一人の持っている生命力を整えること」と。
そして、私は日本の精神医学は欧米に比べて歴史が浅いとよく言われているが、日本には誇るべき人の心を癒す文化や民間療法が昔から存在していて、そしてその中には今でも臨床心理療法に取り入れられるものが数多く眠っていると思う。音楽療法・日本昔話などの語り・法話・禅による瞑想も人々の心を慰める効果があるという点では私は立派な心理療法だと思う。現に、西欧の音楽・ギリシャ神話・グリム童話にさえ未だ科学的な実証は少ないものの倫理療法に有効なもの・人の心を回復させる要素が含まれていると思う。話は戻るが、私は、精神に問題を抱えている人には成長しようとする力(自然治癒力)が内在していることを前提とし、問題行動は社会の中で「ありのままの自分」を受け入れられないことで起こる本当の自分への苛立ち・孤独感・不安などから発生すると思われる。なぜなら、人間は働きすぎたり、人間関係で自らを抑圧しすぎたりして、心が完全に疲れてしまうと、人間の生きる糧である喜び・愛・安心感といった感情を感じなくなってしまうからだ。
そのため、人間の心が抱える問題を解決する上で、臨床心理士はそれを単に個人の問題として見るのではなく、個人を取り巻く社会環境や状況・背景の全体を理解していくことに努めなければいけないと思う(ミクロとマクロ両方の視点が必要)。そして、精神障害者には世間から差別・隔絶され、人権を侵害されてきた悲惨な歴史がある。現在でも精神障害者に対する社会の偏見は根強く、また、病気の急性期における治療の場面などで他の障害者よりも人権が侵害されやすい側面を持つ。そのため、臨床心理学を研究し、さらに改善していくためには、①精神障害者の人格を擁護すること②個人と社会の状況把握、社会に対する心の病気に対する正しい理解への働きかけ③患者の自己決定権を促し、尊重する。他者から心の病気・自我そのものについて学べることに心理療法の研究者として常に感謝すること。以上三つの原則を心がけて、丁寧に粘り強く研究活動に取り組みたいと思っています。

※ 参照
『はじめのうちは気のつかないていどだが 
 ある日きゅうに、なにもする気がしなくなってしまう。 
 なにについても関心がなくなり
 なにをしてもおもしろくない。
 この無気力はそのうち消えるどころか
 すこしづつはげしくなっていく。 
 日ごとに、週をかさねるごとに、ひどくなる。
 気分はますますゆううつになり
 心のなかはますますからっぽになり
 じぶんにたいしても、世のなかにたいしても
 不満がつのってくる。
 およそなにもかんじなくなってしまう。
 なにもかも灰色で、どうでもよくなり
 世のなかはすっかりとおのいてしまって
 じぶんはなんのかかわりもないと思えてくる。
 怒ることもなければ、感激することもなく
 よろこぶことも悲しむこともできなくなり
 笑うことも泣くことも忘れてしまう。
 そうなると心のなかはひえきって
 もう人物もいっさい愛することができない。

 この病気の名前はね致死的退屈症というのだ。』

   ~ミッヒャエル・エンデ作  モモより抜粋~

"One day, you don't feel like doing anything. Nothing interests you, everything bores you. Feel more and more empty inside, more and more dissatisfied with yourself and the world in general. Then even that feeling wears off, and you don't feel anything anymore. You become completely indifferent to what goes on around you... You forget how to laugh and cry - you're cold inside and incapable of loving anything or anyone... There's no going back... The disease has a name. It's called deadly tedium." 

⑦  参考文献
1『心理学 psychology: Science of Heart and mind』
武藤隆 森敏昭 遠藤由美 玉瀬耕治 2011年11月30日発行
2 『カウンセリング心理学ハンドブック上巻』
  楡木満生 田上不二夫 2011年5月31日
3 『カウンセリング心理学ハンドブック下巻』
  松原達哉 松島脩美 2011年1月31日
4 『よくわかる臨床心理学』 [改訂新版]
  下山晴彦 2011年10月30日
5 『精神症状のアセスメントとケアプラン 32の症状とエピデンス集』
  川野雅資 2012年11月9日
6 『心の病と精神医学』 
  景山任佐 2009年3月10日
7 経済評論家 伊藤洋一公式サイト 
<GNH的成長を目指すブータン(2009年8~9月)-Cyberchat> 
http://arfaetha.jp/ycaster/chat/asia/gnh.html
8 WNUSP 世界精神医療ユーザー・サバイバーネットワークhttp://www.wnusp.net/
9 『モモ』 岩波少年文庫
 ミヒャエルエンデ著 大島かおり訳
10 OECD Better life index
  http://www.oecdbetterlifeindex.org/#/11111111111
11 マイケル・サンデル 公式ホームページ
  http://www.justiceharvard.org/
12 『窓際のトットちゃん』黒柳徹子著
   2012年 6月7日 講談社 青い鳥文庫出版
13 内閣府 共生社会生活 自殺対策
  http://www8.cao.go.jp/jisatsutaisaku/index.html
14 TED ideas worth spreading
http://www.ted.com/
15 厚生労働省 心の耳 働く人のメンタルヘルスポータルサイト
  http://kokoro.mhlw.go.jp/
16 Discovery Channel Human Psychology
http://news.discovery.com/human/psychology
17 The Wall Street Journal Japan
http://blogs.wsj.com/japanrealtime/2012/01/23/big-tokyo-quake-forecast-by-2016/
18 BBC NEWS JAPAN
http://www.bbc.co.uk/news/world-asia-18718486
19 WHO World Health Organization Mental Health Statistic
http://www.who.int/mental_health/prevention/suicide_rates/en/
20 Discovering Lightner Witmer: A Forgotten Hero of Psychology
http://www.psyencelab.com/images/Discovering_Lightner_Witmer.pdf
21 Lightner Witmer and the beginning of clinical psychology
http://www.psych.upenn.edu/history/witmertext.htm
22 独立行政法人 経済産業研究所
  http://www.rieti.go.jp/jp/columns/s13_0003.html
23 日本行動療法学会
  行動療法学会に期待すること(下山晴彦:東京大学、日本心理臨床学会)
  http://jabt.umin.ne.jp/j/e-news/serial2/03.html
24 ICU21世紀COEシリーズ 第3巻 
  『ニューサイコセラピィ』グローバル社会における安全空間の創成
  小谷英文編 2008年4月7日出版 株式会社 風行社
25 講座 臨床心理学4 異常心理学Ⅱ
  下山晴彦・丹野義彦 2004年3月15日出版 財団法人 東京大学出版会
26 My Voice Will Go With You: The Teaching Tales of Milton H. Erickson, M.D.
  Edited and with commentary by Sidney Rosen
  Publisher: W W Norton & Co Inc; Reprint edition (April 1, 1991)
27 YUCASEE media ブータン国王、国会演説全文
http://media.yucasee.jp/posts/index/9605


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